福岡高等裁判所 昭和26年(う)2099号・昭26年(う)2098号 判決
所論第二回起訴状記載の公訴事実、第二、第四、第七、第十一に対応する原判示第二、第四、第五、第二十一の各事実については、被告人が原審において否認したのに拘らず、原判決が各関係被害者作成の盜難被害届及び被告人から右関係盜難品を買受けた者が作成した物品買受始末書を綜合して、これを認定していることは所論のとおりである。しかし、右判示の盜難のあつた頃、その都度該盜難品を所持していた被告人が、日時を異にし、且つ異つた者にこれを販売したごとき場合、該盜難品を入手所持するに到つた経路につき何等の弁明もしないで単に窃盜の事実を否認しても、これを措信しないで、盜難被害届と盜難品を所持していた被告人から該盜難品を買受けた旨の買受始末書を綜合して当該窃盜の事実を認定しても採証の法則に反することのないのは勿論、経験則に反するものということはできない。そして所論原判示事実は原判決の挙示した関係証拠により充分これを認めることができる。